現代ツーリングの必需品とその選び方
バイクで知らない土地を走る際、かつては紙の地図をタンクバッグに入れて信号待ちのたびに確認するのが一般的でしたが、現在ではスマートフォンをナビゲーションとして活用するのが主流になっています。スマホホルダーを取り付けることで、常に現在地やルートを確認できるだけでなく、インカムと接続して音楽を楽しんだり、急な着信に気づけたりと、ツーリングの快適性は飛躍的に向上します。しかし、多種多様な製品が販売されているため、自分のバイクや用途に合ったものを選ぶことが重要です。
まず注目すべきは、スマートフォンを固定する方式です。大きく分けて、四隅や左右からアームで挟み込む「クランプ型」と、透明な窓が付いたケースに入れる「ポーチ型」があります。クランプ型は画面が直接見えるため視認性が高く、タッチ操作もしやすいのがメリットですが、雨風にさらされるという弱点があります。一方、ポーチ型は防水性に優れていますが、夏場は内部に熱がこもりやすく、スマホが熱暴走を起こしてナビが停止してしまうリスクがあります。頻繁に取り外しをする場合は、ワンタッチで着脱できる機能がついているかどうかも重要なチェックポイントになります。
また、最近の高性能なスマートフォンを使用しているライダーにとって無視できないのが「振動対策」です。バイク特有の高周波振動が長時間伝わり続けると、スマートフォンのカメラに搭載されている手ブレ補正機能が故障してしまう事例が多く報告されています。これを防ぐためには、振動吸収ダンパーが内蔵されているモデルや、衝撃吸収素材を使用したホルダーを選ぶことが推奨されます。少し高価にはなりますが、高価なスマートフォンが壊れてしまうリスクを考えれば、振動対策がしっかりした信頼できるメーカーの製品を選ぶのが賢明です。
取り付け位置と電源確保のポイント
スマホホルダーを手に入れたら、次は取り付けです。どこにでも付ければよいというわけではなく、安全かつ快適に操作できる位置を見極める必要があります。最も一般的なのはハンドルバーへの取り付けですが、メーターの視認性を妨げない場所に設置することが大前提です。スピードメーターやタコメーター、各種インジケーターランプが隠れてしまうと、安全運転に支障をきたします。また、ハンドルを左右いっぱいに切ったとき(フルロック時)に、ホルダーやスマホがタンクやスクリーン、カウルなどに干渉しないかも必ず確認してください。
取り付け位置が決まったら、同時に考えておきたいのが電源の確保です。GPS機能を使ってナビアプリを起動し、画面を常時点灯させていると、バッテリーの消耗は激しくなります。ロングツーリングに出かけるなら、車体から電源を取るUSBポートの設置も合わせて検討するとよいでしょう。スマホホルダーの近くにUSBポートがあれば、短いケーブルでスマートに充電しながら走行でき、バッテリー切れの心配から解放されます。
電源を取り出す作業は、バッテリーに直接つなぐ簡単なものから、イグニッションキーのオン・オフに連動させるリレーを使った配線まで様々です。電気系統の知識に不安がある場合は、無理をせずバイクショップに依頼することをお勧めします。配線が露出したままだと断線やショートの原因になるため、タンクの下を通すなどしてきれいに処理することも、トラブルを防ぐカスタムの基本です。自分で取り付ける際は、配線がハンドルの動きを阻害しないよう、ゆとりを持って取り回すことを忘れないでください。
脱落防止と雨天時の対策を万全に
走行中にスマートフォンがホルダーから外れて落下してしまう事故は、残念ながら後を絶ちません。高速道路などで落下すれば、回収はほぼ不可能であり、後続車に踏まれて破損するだけでなく、落下物が原因で重大な事故を引き起こす可能性もあります。こうした事態を防ぐために、ホルダーのロック機構を過信せず、二重の安全策を講じることが大切です。多くの製品には脱落防止用のシリコンバンドやテザー(命綱)が付属していますので、面倒がらずに必ず装着するようにしましょう。もし付属していない場合は、ストラップなどを利用してハンドルバーとスマホを繋いでおくだけでも、万が一の際の命綱となります。
また、雨対策も忘れてはいけません。防水機能のあるスマートフォンであっても、充電端子が濡れた状態でケーブルを接続すると、ショートして故障する恐れがあります。雨が降ってきたら充電ケーブルを外し、端子カバーをしっかり閉めることが基本です。激しい雨の中では、タッチパネルが水滴に反応して誤作動を起こす「ゴーストタッチ」が発生することもあります。画面が見にくくなるだけでなく、勝手にアプリが終了したり、意図しない操作が行われたりして危険ですので、雨天時はスマホの使用を控えるか、ジップロックなどの密閉袋に入れてからホルダーに固定するなどの工夫が必要です。
最後に、スマホホルダーはあくまで運転を補助するためのアイテムです。走行中に画面を注視したり、操作を行ったりすることは「ながら運転」となり、道路交通法違反の対象となるだけでなく、非常に危険な行為です。ナビの確認や操作が必要な場合は、必ず安全な場所に停車してから行うというルールを徹底してください。便利なアイテムを正しく使いこなし、安全でスマートなバイクライフを楽しみましょう。

